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バー開業&運営のための基礎知識

夢のバー開業のためにどんな準備が必要なのでしょうか。理想を形にするために、資金の調達、経営を軌道に乗せるための大切な準備、施策のポイントをおさえていきましょう。また開業後の安定した運営のために、知っておくべき事もまとめてみました。

バー開業のために準備したいこと

バーの構想案がまとまったら、開業をするための具体的な準備をします。


資金のこと、資格と届け出について、その他経営上知っておくべきことを、順を追って丁寧におさえていきます。


成功への近道は周到な準備にあります。常識的な基本事項をしっかりと理解し、開業後の盤石な経営のために正確な知識を身につけましょう。


 

バー開業のために準備したいこと

開業資金を調達しましょう

バー開業のための資金はいくら必要なのでしょうか。一般的に開業資金600〜700万、開店後の運転資金500万以上を考えると、準備したい資金は1500万前後といわれています。


① 自己資金と融資制度、クラウドファンディングの活用


自己資金を多く用意できれば問題はありませんが、自身の貯蓄、親兄弟、親族からの援助で用意できるお金は限りがあるものです。


そんな時に味方になるのが融資制度です。


日本政策金融公庫には低金利で借入れ可能な「女性、若者/シニア起業家支援資金」など創業に活用できる融資制度があります。くわしい手続きや種類をHPで確認して、自分に見合う制度を活用することも得策です。


また近年ではクラウドファンディングでの起業も注目を集めています。実績のない個人でも始められ、資金の確保と同時に開店後のファンを増やすことにも効果的。クラウドファンディングに興味ある人は、一度その種類や、メリット、デメリットを調べてみるのも良いでしょう。


② 助成金、補助金の活用


助成金、補助金の制度についても知っておきましょう。両制度とも融資とは違い、原則返済不要です。


助成金は一定の要件を満たして申請し受け取ることが可能です。厚生労働省が管轄し、雇用や人材育成、労働環境の改善のために設けられた制度です。


補助金は国や地方公共団体が企業促進のために予算を決めて支給するもの。助成金と違い審査が難しく倍率が高い反面、種類が豊富、支給額が助成金より多いものもあり、経費の適用範囲が広く使いやすいというメリットがあります。くわしくは経済産業省中小企業向け補助金・総合支援の「ミラサポPlus」に掲載されています。


どちらも募集の時期などタイトですので、よく理解した上で必要な書類を揃えて活用していきましょう。


 


 

開業資金の実際

開業のための資金の内訳をみていきましょう。


ざっくり言うと、物件所得のための費用(家賃・保証金など)、内装、外装費、備品や什器、食器、消耗品の購入費、そして酒を仕入れるための費用になります。


また開店をアピールするためにオープニングイベントをするなら、開催するための費用も含まれます。


予算を安くするために、居抜き物件を借りる手もありますが、前のバーがどんな理由で閉店したかを詳細に調べる必要があります。元々、バー開業には不向きな立地にその店があるのかもしれません。また什器についても中古品を安く入れることもできますが、電気系の什器はちゃんと作動するか、短い期間で故障しないかなど確認は入念にしましょう。


限られたお金ですから、使うべきところに十分に初期投資して開業後のトラブルを少なくするのも成功のコツです。


 


 

事業計画書を作ろう!

バーの運営を円滑にするなら、事業計画書を作ることもオススメ。


助成金や補助金の申請に役に立つほか、しっかりとした店の運営のための「見取り図」を作ることで、客観的な視点が生まれ、ぼんやりとした不安を論理的に解消する手立てになります。


事業計画書は店の運営をどのようにしていくか具体的な行動を示すもの。店の概要、コンセプト、事業内容、自分の店の強み、ライバル店との競合について、お店を運営していく上での戦略など多岐に渡ります。ネットにある事業計画書のテンプレートや、書き方をくわしく解説した書籍も参考にし、不安な人は専門家に相談してなるべく完璧に仕上げていくのが理想です。


 


 

開業に必要な資格と届け出

必要な資格は「食品衛生責任者の資格」と、バーの収容人数が30人以上であれば、「防火管理者の資格」が必要になります。またカラオケやダーツなどの遊戯施設を入れるのであれば「特定遊興飲食店の営業許可」を必須。また0時以降も酒を提供するために「深夜酒類提供飲食店営業開始届け」も管轄の警察署に届けましょう。


資格を取るだけでなく届けをしっかりと提出し、開業したい店で必要な資格と届けを入念にチェックしたいものです。


 

持っていて得な資格について

本格的なバーを経営するなら酒類に関連するさまざまな資格も有利になります。質の高いお客を相手にするのなら豊富な知識と高い技術が求められるからです。


日本バーテンダー協会(N.B.A)が発行する資格証書のほかに、ビアアドバイザーの資格や、日本ソムリエ協会の認定資格、カクテルについての知識を深める「カクテルソムリエ資格認定試験」など開業する店の傾向に合わせて楽しみながら受講するのもいいですね。開業後のお客さまとの深みのある話題づくりや、ライバル店との「差」を意識して、必要な知識を蓄えて自信を持ってバー経営に臨みたいものです。


 


 

意外と重要!酒の仕入れ先

バーを経営するには自分の店に合った酒を仕入れなくてはなりません。


業務用の価格で酒販会社から仕入れると、価格をおさえられる他、メーカーの協賛キャンペーンに参加したり、提案される商品の方法や、勉強会、試飲会などを利用することも可能です。


また、たくさんのバー経営の様子を見てきた業者だからこそ、いざという時に味方になってくれるケースもあります。


価格重視でなければ、珍しい酒を扱う酒店や、酒蔵から直接入れることも良いでしょう。バーの特徴に応じて酒の仕入れを工夫しましょう。そのほか、インターネット通販や業務用スーパーを上手に利用する手もありますね。


 


 


 

成功しているバーオーナーが実際にやっていること!

開業後の店の円滑な経営のためにどんなことに注意すればよいのでしょうか。


ここではより具体的な問題を解説していきます。開業後に慌てないためにも、バーの現実と打開策を細かく知っておき、不測の事態に備えましょう。


 


 

成功しているバーオーナーが実際にやっていること!

経営の厳しさを知っておこう

計画性をもって準備して開店したバー。コンセプトを練りに練り上げ開店したものの、客足がどうも振るわない。開店数が多い分実は廃業率も高いのがバーの現実です。後発のライバル店の台頭など、予期せぬ事態にも覚悟は必要です。バーは3日分の売り上げで家賃を賄えれば、繁盛店という認識もあるとか。開店直後は大盛況でも、3〜6ヶ月くらいから客足が少なくなることもあるようです。


ここで重要なのは、焦って計画性のないお金を無駄に使わないこと。売り上げが落ち込んだら一旦冷静になり、よく店の現状を分析し、意味のある打開策を考えましょう。運転資金を無駄に減らさず精神的に余裕を持つ。自分で自分を追い込まないように。


 

集客のためにできること

①SNSを活用した宣伝


Instagramやツイッター、フェイスブックなどSNSをうまく使って、集客に繋げている店も少なくありません。気をつけたいのは自分の店に呼び込みたい年齢層や、来てもらいたいお客さまがどんな媒体を使っているか見極めること。


40代以上ならフェイスブックは有効ですが、若い世代などへのアピールには繋がらないかもしれません。Instagramなら写真の美しさは必須。いくつかのSNSをお試しで使ってみて、いちばんフォロワー数の多いものを軸に訴求するのもいいでしょう。


 


②人脈を生かした店のアピール


バーは食事のあとのひとときを過ごす空間です。あなたの店のニーズに合った飲食店の繋がりを生かした集客も有効。


ワインバーならイタリアンレストランに頼んで、小さなチラシを置かせてもらいましょう。「このあたりで感じのいいバーを知らない?」と食事後に聞かれるチャンスもあるでしょう。


美味しい店のオーナーから勧められたバーには少なからずも興味が湧くものですね。酒販店の営業さんを通して評判のいいレストランと繋がり、懇意にしておくのも大切な店経営の良いソースになります。


 


③決済方法の多様性


クレジット決済はもちろんのこと、多様な決済を用意するのも店の利点に繋がります。現金を使わない便利でお得なモバイル決済も、ぜひ検討していきましょう。楽しい時間からスムーズに移動したいお客にとって、短時間で支払いが済むことは好まれます。時代の流れや流行に敏感な顧客ほど、無駄な時間を嫌います。


また、ほぼひとりで開業から閉店まで接客するなら、なおさら決済方法にも心配りをしたいものです。


 


 

スタッフ選定は店の運命を変える

開業後店の運営もうまくいき、2店目を考え始めたあなた。注意が必要です。


1号店を従業員に任せ、2号店をあなたが営業していこうと思うなら、スタッフの選別には慎重になるべき。


バーはほかの飲食店と違い、お客が店のオーナーの人柄や技術に惚れ込んで通う要素が高いからです。せっかく軌道に乗った1号店にあなたがいなくなることで、本当にサービスの低下はありませんか?


また、交代要員として従業員を雇い入れる時も人を見極めましょう。サービス技術も大切ですが、それ以上に重要なのは人柄や立ち振る舞い、その人の持つ「空気感」のようなもの。気持ちの良い空間を提供するバー経営にとって、接客人員の選び方で実は明暗が分かれるのです。


 


 

バーでやってはいけないこと、風営法ってなに?

風営法とは、正式には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」ののこと。バーを経営する上で、この風営法違反には注意が必要です。風俗営業許可をとっていない店舗で、スタッフがお客とカラオケのデュエットをすることや、ダーツ、トランプの相手をすることは禁止されています。他にも違法に該当する事柄があるので細かい注意が必要です。不明点は専門家を挟むなどしっかりと把握し、健全な運営を心がけましょう。


 

まとめ

バー開業と一口にいってもたくさんの準備や、気をつけたい運営のポイントがあります。特に資格や届出、夜の営業に纏わる法律など、ひととおりオーナーとして理解したい事柄も多く苦労も多いと思います。


しかし、接客が好きで人間が好き、癒しの空間を作りたいという熱い気持ちがあれば乗り越えることも可能ではないでしょうか。


夢のバー開業を理想に近づけるために、必要な「投資」や「努力」、「勉強」は惜しむことなく実行しましょう。それがバー経営を成功に導く最大の近道になるからです。

まとめ

written by arukuma

料理とグルメ、ときどきアンティークが大好きなライターです。
わかりやすく楽しめるコラムづくりを心がけています