
“やりたいこと”“好き”を仕事に~花屋で独立・開業する~(仕入れ・商品管理編)
2021-04-16
お花の買い付け
花の仕入れ先は、花き市場・仲卸・インターネット市場・生産者になると思います。ただ、生産者からの直接買い付けは開拓や営業など、個人でやるには若干ハードルが高いので、他の3つを詳しく紹介します。
市場
市場で花を買うためにまずは契約が必要で、その際保証金(20万円程度)も支払います。そうすると個人番号を与えられ、はじめて商品を買う権利がもらえます。
小規模な市場を除き、大部分では「機械せり」を導入しています。花きの競りは「下げぜり」と呼ばれ、高い値から下がっていきます。せり時計の情報とせり人が示す商品を見ながら瞬時に欲しい値段で手元のボタンを押さなければならないので、慣れていない人にとっては難しいかもしれません。
でも、1本、1個当たりの単価が最も安くなるのは、この買い方になると思います。必要なものを予約しておく相対という方法もありますが通常、せりよりは高い値段になります。
仲卸
せりでの仕入れは単価が安いのは魅力ですが、ケース単位でしか購入できません。1ケースに同じ花が50~100本入っていて、はたして売り切れるのか心配になりますよね。
お店をはじめたばかりで販売力が弱いうちは、仲卸で買ったほうがロットが小さく購入しやすいです。10本単位で買えますが、単価は少し高くなります。でも、少しずつたくさんの種類を揃えられるのが最大のメリット。はじめのうちはこの方法で仕入れるのが安心かと思います。

インターネット市場
今の時代、当たり前のシステムと言っていいと思います。ましてや1人で仕入れることを想定したらネットで買って配送してもらう方が時間効率ははるかにいいですよね。品揃えも豊富ですし、会員登録だけで保証金などもないので、とても気軽に仕入れが出来ると思います。
実際の商品は見られないので(画像は見られます)イメージと違う可能性があること、また送料がかかる点には注意が必要です。
花屋の利益
仕入れてきた花をいくらで売るのか?これも結構な難関といえるのではないでしょうか。掛け率はお店によってさまざま。経費を考えて、独自の掛け率を大体決めておけるといいかもしれません。
あとは実際の商品を見て、これならこれぐらい貰えるかな?これはこれぐらいに押さえようかな?など、臨機応変も必要。安くしすぎて利益が出ない、高くしすぎてロスになる、商品管理に失敗して処分せざるを得ない・・・鮮度が命の花の仕事、ここからが頑張りどころです。
値段設定
お店によって掛け率はさまざまですが、花屋がここで考えなければいけないのは「廃棄処分を見込んでの高い利益率」です。
仕入れてきた花がすべて同時に売り切れることはなく、店頭の品揃えを考え次々と仕入れが発生するため、仕入れた分の3割程度廃棄しても利益が出るように考えられているのではないでしょうか。売上と利益のバランスがポイントです。

固定客とリピーター
「お花を買うならここで」と言って予約をくださるお客様、定期的にご注文をくださるお客様を獲得できるようになれば仕入れた花を確実に売れる段取りが出来てきます。
そういうお客様を獲得出来るまでは、通りすがりや新規のお客様をきちんと接客し、徐々に固定客・リピーターを増やすことで安定した受注が出来るようになりますよね。予約の仕事プラス新規のお客様の取り込みのバランスはとても大事です。
商品構成と購入金額
“用途に合わせて”“予算に応じて”商品を提供出来る事は大前提ですが、迷っていたり考えていたりするお客様に対して、少し単価の高い物をおすすめできたら購入金額が良くなり売上に繋がります。
手に取りやすく買いやすい500円のミニブーケ、手土産に良さそうな1,000円のアレンジメント、この辺りを上手に飾っておくと、大きさの目安になり、急いでいなければそれ以上の単価の商品を頼んでくれたりしますよね。ギフト用の3,000円・5,000円の商品を購入してくださるお客様が増えるような工夫も大切です。
ロスを減らすには
生鮮品である以上、少なからず生じる廃棄処分ですが、この廃棄処分(ロス)をいかに減らせるかが利益に結びつきます。
お店をオープンしてからはじめて迎える大きなイベントなど、予測がつかないこともあるとは思いますが、予約注文などあらかじめ使いそうなお花が予測できるものと、売れ筋を把握することで在庫やロスを少しでも減らせるようになっていくと思います。

商品管理
花の鮮度を保つためのキーパー(冷蔵庫)は、お客様に見える場所に置いてあるショーケース型か、倉庫やバックヤードに保存用としてあるか違いはありますが、ほとんどの花屋には大なり小なりあると思います。
しかし近年では、店頭に並べているお花はキーパーには入れず、お客様も近くでお花を見たり選んだり出来るようなディスプレイになっているお店が多いと思います。水揚げをしてすぐに冷蔵庫に入れた花は外に出したときに、つぼみが開かなかったり、気温差に耐えられず枯れてしまったり、痛んでしまったりとロスにつながる可能性も無くはないのです。一時的に保存をしておくためのキーパーはあっていいと思いますが、頼りすぎるとはじめから売り物にならなかったり、お客様に買っていただいてもすぐダメになってしまったりする事も。
お花に最適な温度管理(16℃前後)が出来れば、お花の負担も少なく、売る前に捨てるという事は防げそうです。その代わり、こまめに水替えを忘れずに。
第二の利用方法
元気がなくなってきたお花を少しでも蘇らせるには、水上がりを良くしてあげること。首を新聞などで巻いて水切りしてあげたり、短く切ってあげることも効果がありますね。
短くなってしまった花は小さなブーケにして花瓶に入れやすくして売ったり、正規の値段で売るのはちょっと・・というものはダメになる前にドライフラワーにしたり、手を加えて再び商品価値をつける事が出来ればロスは最小限に抑えられますね。自分のお店に合った再利用方法をぜひ見つけてみて下さい。
まとめ
花屋で独立・開業する(仕入れ・商品管理編)いかがでしたか?お花の仕入れから商品管理、花屋を経営していくにはとても大切なところだと思います。最初はもちろん試行錯誤。季節を1周してみると、いろいろな事が見えてきます。
何年も四季を過ごすことで経験値が増え、さらにいいアイディアも浮かんできますよね。長く続けられる花屋を目指して、自分なりのノウハウを身につけていきましょう。


written by miiko
花業界に身を置き数十年。役立つ情報をわかりやすくお届けできるようまだまだ勉強中です!