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美容師の独立に20代という年齢ははやすぎる?

美容師として経験を積みながら、「いつか独立をしたいな」と考えている人も多いのではないでしょうか。「いつか」になってしまう理由は現実味がないこと。独立するためにはどういう気持ちをもって、何から始めればいいのか考え、行動すると自然に道筋は開かれていくものです。
では、美容師が独立するためには何歳がベストなのでしょうか?そして、独立する前に考えておきたい3つのこと、手順をご紹介します。

美容師の独立20代はやすぎる?

独立をしたいと考えても、先輩美容師に囲まれた環境にいると、「20代で独立は、まだはやすぎるのかな?」と不安に思いますよね。同世代はどのくらいの美容師がオーナーとして活躍していのでしょうか?年代ごとの割合をご紹介しながら説明します。


 

美容師の独立20代はやすぎる?

美容業経営者の年齢はどのくらい?

厚生労働省の『経営者の年齢別施設数の構成割合』調べによると、「60歳~69歳」が32.4%と最も高く、「50歳~59歳」が26.1%、「40歳~49歳」が15.1%、「30歳~39歳」が6%、「30歳未満」が0.7%という結果に。全体からみて、20代の美容業経営者の割合はかなり少ないようです。出典:厚生労働省「平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査」


https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000501315.pdf


割合から考えられることは、資金面。社会人になり間もない20代には、開業資金を用意することが難しいのではないでしょうか。美容室に限りませんが、開業に必要な資金は1,000万円以上といわれています。20代で独立する場合は、自己資金の他に金融機関からの借り入れも視野に入れた資産運用を考えましょう。


 

年齢層が高い理由

「若い子の美容室、おばちゃんたちには雰囲気が合わなくて入りにくいのよね…」という世間話を何気なく耳にしたことがあります。技術ではなく、雰囲気で選ばれてしまうのは残念ですよね。


しかし、頻繁に白髪染めに通いに来てくれる世代もこの「おばちゃんたち」。それを考えると、年配層が通う「入りやすい美容室」、恐らく60歳~69歳の経営者が最も多い理由は頷けます。


 

20代で活躍している人が増えている理由

あなたも「フリーランス」という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。フリーランスは、固定した美容室を持たない自由な働き方です。美容師の場合は、業務委託や面貸し、ミラーレンタルやシェアサロンなどを借りて施術でき、独立費用を安く済ませることができます。


20代で活躍しているフリーランス美容師が増えている理由は、利用しやすいこと。そして、InstagramやTwitterなどをはじめとしたSNSがPRの手段としてうまく活用できるからに他なりません。今の時代だからこそできる働き方といえます。独立のための一つの手段として、フリーランス美容師も考えてみてみましょう。


 


 

独立する前に考えておきたい3つのこと

独立して、夢だった美容室を建てたとしても、「お客さんが来てくれない。赤字が続いている」では、最高の技術があっても、失敗してしまう可能性も。独立する前に綿密な事業計画をつくり、イメージをしておくことが大切です。


ここからは、独立する前に考えておきたい3つのことをご紹介します。


 

独立する前に考えておきたい3つのこと

これだけは一番!強みをもつこと

長く続いている美容室の特徴は、それぞれのお店に共通した「特徴」や「強み」をもっていることです。例えば、「外国人カラーの技術が優れている美容室」や、「どんな髪型でも小顔にみせるカット技術をもつ美容室」など、経験を積むうえで、これは誰にも負けないという1つを伸ばしていく。


強みは磨き続けていくことで、他の美容室が真似できない「技術」が確立していきます。


 

お店の場所、雰囲気を考えること

どこで働けば、あなたの強みが活かせるのかを探しましょう。例えば「子どものカットが得意」であれば、住宅街に。「白髪染めなど、年配の為のカラーが得意」の場合は年配の人が多く住んでいるエリアで物件を探すとお客さんも入りやすいのではないでしょうか。


もう一つは、お店の雰囲気を考えること。カジュアル、シンプル、クラシカルさまざまなイメージがありますが、雰囲気に合わせた家具を用意するなど統一性をもつことで、居心地の良い空間づくりができます。


しかし、内観だけにこだわってしまうと、ついつい外観に費用を割いてしまいがち。バランスも大切です。独立前にさまざまなお店をリサーチして「あなたの美容室」をイメージしましょう!


 

揺るがないコンセプトをもつこと

コンセプトとは一貫した定義のことをいいます。お客さんがあなたのお店に来ることで、どんなメリットを得られるか。あなたに施術してもらうことで「どう綺麗になれるか」、「どんな喜びを提供できるのか」をイメージしてみましょう。


浮かばないという人はまず、「自分がお客さんだったらどうしてもらったら嬉しい」のかを考えてみてください。揺るがないコンセプトは、必ずお客さんの心を打ちます。


 


 

これだけは知っておきたい美容室開業の流れ

美容室独立までにさまざまな手続きが必要だということをご存知でしょうか。


申請漏れがないよう、注意しましょう。これだけは知っておきたい美容室開業の流れを紹介します。


 

美容室開業の手順

美容室開業までの流れは次のようになります。


 


(1)事業計画


強み・コンセプトを固めましょう。融資が必要な場合、事業計画書が判断材料になります。開業準備、開業後に必要な費用まで、今後を見通した事業計画を立てましょう。


 


(2)物件探し


ターゲットに合わせたエリアを決めたら、アクセスがよく、競合の美容室が近くにない立地条件を希望。不動産屋さんと相談し、なるべく良い条件を決めましょう。


 


(3)資金の調達


資産だけでは工面できない場合、銀行の融資など視野にいれましょう。おすすめしたいのが、美容師独立に役立つ助成金です。さまざまなものがありますが、例えば新規事業の開始・新規出店に関するもの、雇用の改善に関するものなど。条件があえば助成金が受けられるので、近くの市役所に一度相談してみても良いでしょう。


 


(4)一緒に働くスタッフの採用


一緒に働くスタッフを採用します。注意することは、スタッフが2人以上いる場合は店内に1人、管理美容師免許を取得した美容師の在籍が決められていること。また、管理美容師免許取得には3年以上の勤務と講習が必要です。


 


(5)各種手続き・検査(次に詳しくご紹介します)


 


(6)内装・外装工事


手続きが完了した後、いよいよ内装・外装工事に取り掛かります。ここで気をつけたいことは、こだわることで、最初に考えていた予算がオーバーしてしまうこと。工事の前は計画的な予算運用が必要です。工事業者と納得のいく話し合いをしましょう。


 


(7)SNS、雑誌、チラシなどを使った告知


お店に看板が立ち、家具やシャンプー台などが搬入されたらSNSや雑誌、チラシなどを使って集客をはじめます。


 


(8)オープン


 

保健所・消防署・税務署・保険の手続き

お店の事業契約や設計図の確定、スタッフが決まったら手続きに移ります。申請のなかには時間が掛かるものもあるため、余裕をもったスケジュールが必要です。


 


(1)保健所へ『美容室開設届』を提出する


申請に必要な書類としては、『開設届』、『構造設置の概要』、『スタッフ一覧名簿』(この3点は各保健所のHPから書式をダウンロードできるところもあります)、『医師の診断書』、『登記事項証明書』(届ける人が法人である場合)、『住民票の写し』(届ける人が外国人である場合)が必要です。保健所にもよりますが、検査手数料として2万円前後費用かかります。


 


(2)消防署へ消防検査を依頼する


テナントで開業する場合、申請が必要です。条件にもよりますが、テナントを借りて改装・修繕工事をする1週間前に『防火対象物工事等計画届出書』を提出すること。また、改装・修繕工事をしない場合も1週間前に『防火対象物使用開始届出書』を提出しましょう。指摘される場合があるので余裕をもったスケジュールが求められます。


 


(3)税務署へ『開業届』を提出する


マイナンバーカード、本人確認の提示を求められるので、忘れずに。原則、開業する1ヶ月以内に税務署へ行き、申請しましょう。


 


(4)保険会社へ『賠償保険』に加入する


こちらは絶対ではありませんが、施術中にお客さんの衣服に汚れをつけてしまったり、ケガや火傷などをさせてしまったり、トラブルが起きた時のために賠償保険に加入しておくと安心です。

美容師スタッフを2人以上雇う場合

美容師スタッフを2名以上雇う場合には、『管理美容師免許』の取得が必要です。これには条件があり、3年以上の実務経験があること、各都道府県で開催される講習会にも参加する必要があります。


また、スタッフ雇用に伴い、年金事務所へ「健康保険・厚生年金」の加入、ハローワークで「雇用保険」の加入、労働基準監督署で「労災保険」などの加入もしましょう。このように、手続きは多く、全てを把握するのは難しいですよね。心配な人は事前に税理士や社会保険労務士事務所に相談するものおすすめです。


 


 

まとめ

美容室独立20代ははやすぎるのか、また、独立するまでに考えておきたいこと、手順について紹介してきました。美容業経営者の年齢層が高いのは、あらゆる申請に時間がとられてしまうことも理由の一つなのではないでしょうか。いざ開業するときに手間取らないため、綿密な計画が必要です


。資金集めももちろん、時間が掛かりますが、少しずつ準備をしておけば20代でもはやすぎることはありません。なにより一番大切なことは、自分にとっての「強み」や「揺るがないコンセプト」をもつこと。お客さんの笑顔がみたい、「ありがとう」のたった一言が嬉いと思うあなたなら独立に向いています。自信をもって次のステップに進みましょう!


 

まとめ

written by ikemori

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